この地図は私たちが各自治体H.P.、給食課、教育課へのメールや電話で調査した、福岡県公立中学校の給食方式MAPです。
「学校給食」は大きく2つに分けられます。選択制か全員制か。選択制は「学校給食」以外に業者委託パン・おにぎり、家庭からの持参物を各々給食時間に食べます。全員制は小学校の給食を思い出して頂ければいいです。全員に用意された学校給食を食べます。しかし、除去食対応もできないような重篤アレルギー、宗教、その他家庭の事情でお弁当の持参も可能です。
ここでまず、ん?とならないといけません。全員制でもお弁当は選べるんだね?ということです。給食をよく知らない方は、選択できるってすごい!お弁当も選択できるのか!となりますが、小学校のような全員制給食は強制ではありません。
義務教育は子どもの義務=強制ではなく、平等に教育を受ける権利ですよね? 「学校給食」も同様に、自治体が義務教育下の子どもたち全員に、毎週5日授業のある日に提供する努力義務がある(学校給食法第8条の実施基準で定義)、食育の“教科書”であり、どんな家庭で育った子どもでも、学校に行けばもれなく、当然ありつくことのできる食事=権利なのです。
しかし、学校給食法は“努力義務”であり、その実施は各自治体、もっと言うとその自治体の首長のモラルに委ねられています。ここで、福岡県の給食MAPに目を戻しましょう。
まず、全員制給食のカテゴリには自校式(中学校内の給食室で調理)、親子式(小学校の給食室で調理して中学校へ配送)、センター式(大きな調理施設で数校まとめて調理して配送)、デリバリー式(外注弁当を配達)があります。
福岡県内では、全員制配達弁当式を採用していた田川市は、2023年4月より自校式に移行が決定しているため、配達弁当式の全員制給食は福岡県内にはなくなることになりますね。
選択制のカテゴリーを見てみましょう。直方市、宇美町、春日市の3自治体のみが学校給食法上の「完全給食」を提供しながらも、給食内容は配達弁当式となっています。2022年9月から直方市は全員制の配達食缶式完全給食に移行しますので、実質2市のみが取り残されます。2市はどちらもひと月ごとの注文となりますが、その利用率は約6割にとどまります。
さて、最後に残った、赤く塗られた自治体。大野城市、太宰府市、須恵町、久山町の4自治体は福岡県で60ある自治体の内、学校給食法上の「完全給食」がない自治体です。
それぞれの自治体が「ランチ給食サービス」などの名称で“給食”を用意しているとしておりますが、その自称“給食”は、実質の〝業者宅配弁当”になり、学校給食法上の学校給食ではありません。
2005年から業者宅配弁当=「ランチ給食サービス」を実施する大野城市では、その利用率は17年経った今でも2割です。7割が家庭弁当などの家庭から持参した食事を食べていますが、中にはお金を忘れて、パンや業者宅配弁当を買えずに、牛乳だけ飲んでいる子など、欠食している子や、毎日パン、という生徒もいます。
このように、行政が学校給食法で定められた“努力義務”を怠り、選択制という、行政にとって都合のよい、給食システムしか用意しないことで、義務教育下の子どもが、お昼に何を食べているのか分からない(もしくは食べていない)、栄養の偏った食事を摂る状況になっています。
“選択制給食”はどんな家庭の子どもにもチャンスの与えられるべき、公教育である中学校で運用されるべきではありません。
中学校に、全員が食べられる小学校のような全員制学校給食がないことは異常なことだと、多くの方に知っていただき、中学校に全員制完全給食を!と大野城市に声を届けていただきたいです。
※3/22更新(2023年バージョン:太宰府市が全員制給食に移行決定)
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