全員制給食の可能性と給食無償化について

先の公開給食アンケート(ひとつ前の投稿をごらんください)で「その他」を選ばれた皆様のご意見をよく読むと、


現行の選択制給食(外注デリバリー弁当、持参弁当、業者パン・業者おにぎりからの選択制)を維持しながら、外注デリバリー弁当の喫食率を上げる、もしくは選択制給食の問題点を改善する、というものが多くございました。


問題点には、アレルギー除去食対応、虐待・ネグレクト、欠食、平等な栄養、短い給食時間、多様性への対応、無償化などがあげられていました。


こういった問題に対応できるとしたら、それは全員制給食を置いて他にないのではないでしょうか。


【多様性】

全員制給食であっても持参弁当は可能です。また、パンが必要という声に対し、パンだけでは栄養が偏るため、主食をパンとごはんから選択できるようにすれば良いし、部活前に食べられるように、パンやおにぎりは各校の購買で、引き続き販売すればよいのではないでしょうか。


個性に合わせた食事量については、配膳式であれば小食の子には少なく、足りない子はおかわりのできる配膳式の方が、1人分が固定されている弁当箱式より柔軟に対応ができ、残食も減ります。


【貧困対策】

苦しい状況にある子どもだけに、外注弁当を提供することは、貧困の可視化につながり、その生徒の尊厳を傷つけ、差別、いじめ、不登校にもつながる恐れがあり、学校給食が導入された戦後の理念にすら達していません。


【虐待・ネグレクト】

一部の議員さんよりランチ給食(外注デリバリー弁当)の無償化が提案されていましたが、これまで無償化を実施してきた自治体は、当然全員制給食でした。



【無償化】

選択制給食を維持したまま、どのように無償化を実現するのでしょうか。国から給食費の全額補助が出る場合、義務教育下である以上、その補助は全世帯に平等でなくてはならないでしょう。


しかし、選択制のままですと、持参弁当や業者パン、業者おにぎりも無償にすることになります。


持参弁当の中身は、子ども以外誰も知りません。白いご飯にウィンナーのみ、同じクラスの生徒が牛乳だけ飲んでいた、という報告が実際に市民から寄せられています。


例えば、ランチ給食サービスの原価は約500円(委託配送費+材料費)ですから、同額を全世帯の校納金から差し引いて引き落とす、もしくは振り込むことになるのでしょうか。


これだと、「現金」は親の口座に振り込まれますが、「たべもの」は子どもの口に届かない可能性があります。


【子育て支援】

無償化によって、現状平均利用率3割のランチ給食サービスの利用率は間違いなくあがりますが、選択制給食なので、当然子どもが選ばない可能性もあります。


つまり、持参弁当を希望する生徒の親は、“こどもが選んだから仕方ない”という自己責任論により、共働きやひとり親で懸命に働きながらも、朝早くから弁当を作る、という生活に追われることになります。


果たして、これが働くお母さんの望む無償化でしょうか。


松戸市



西東京市



武蔵野市



上記の自治体では、選択制給食であ りながら、その給食が自校式(校内調理)のカフェテリア式、センター式、親子式(小学校で調理して中学に運ぶ)、などで給食の利用率は軒並み95%以上です。

※カフェテリア式は教職員の負担を減らすことができます。


もし、国が給食費を全額出すのなら、なぜ大野城市の中学生は、他の9割の自治体が実施する、美味しい給食方式(自校式は他の方式に比べて残食率が低いという全国的なデータがあります)ではなく、18年経っても利用率3割の外注デリバリー弁当に甘んじなければならないでしょうか。



学校給食は食育の「教科書」だからこそ、無償化の議論が長年交わされてきたのです。


どこの学校でも、親が自己責任でお手製の教科書を作って、子どもに持たせたりはしません。国が保証することになるなら、学校給食は、各自治体が責任をもって全員に届けるべきものだと考えます。


給食費の無償化は、子どもが食べたくなる給食方式の全員制給食が大前提ではないでしょうか。

中学校のより良い給食を考える会@大野城

私たちは2019年夏、大野城市中学校に全員制学校給食が無いことに驚いた、育児休業中の母親により発足しました。 2020年8月、井本市長に大野城市民による3516筆の全員制の学校給食を求めた署名を提出しましたが、回答はありません。 福岡県内60の自治体の内54自治体が、中学校に「小学校のような給食」を実施しています。学校給食はすべての子どもを受け止める社会のセーフティネットです。

0コメント

  • 1000 / 1000